「ら抜き」の勝ち。 その価値は?!

ranuki-kotoba 納得!伝えることばの心得帳

今回は、ちょっとボイトレから離れて、懐かしい国語のお勉強を。

 

文化庁が先日(2016年9月21日)、2015年度の国語に関する世論調査の結果を発表しました。それを翌日の朝テレビのニュースでやっていたのを観て、興味深かったので記事にしました。

文化庁は毎年9月、国語に関する世論調査の結果を発表しています。

私も、日本語教育能力検定試験受験の年に、無料ダウンロードできるpdfアイルを眺めていた記憶があります。

どんな結果だったのでしょうか?

ことばの変種を考え●れますか?

これは、考えれますか?

が本来の使い方です。

考えれますか?は、考え(ら)れますか?の「ら」がないら抜きことばになっています。

 

他には、「あの人の言うこと、認めれない」など、

でも、文字数(拍数)の多い単語は大抵「ん?変だぞ!」と気づきますよね。ね。ね!

 

ちなみに変種とは、平たく言うとバリエーションのことです。

 

 

「ら抜き」「さ入れ」「れ足す」ことば

このサブタイトルに目をやり、しかめっ面をしている皆さんの姿が目に浮かんできます。

「あー、そんなのあったあった」

と思いながら、このページ、離脱しないでくださいね~(笑)

ranuki-to-saire

「ら抜き」ことば

一時期、「ら抜き」ことばはよくない、誤用だという風潮がありました。

これは、可能の意味を表す上一段、下一段動詞(日本語教育でいうところのG2動詞)を使う場合、「ら」を抜いて言う言い方です。

しかし、現在では

レッスンに来れますか?
YouTubeを見れます。
今度のライブに出れることになりました。

のような使い方をする人たち(ら抜き派、と某テレビのアナウンサーは言っていました)が、本来の使い方をする人たちを上回る結果として、上の表で出ています。

図表 (1)(2)(3)(4)(5)

「さ入れ」ことば

ここ数年、私自身が一番気になっているのがコレ。「させる」が・・・。

○見せてください→×見せてください
○休ませていただきます→×休ませていただきます

これは、上一段動詞(日本語教育でいうところのG2動詞)「見る」五段動詞(日本語教育でいうところのG1動詞)「休む」に不要な「さ」を入れてしまう例です。

ただ、話す、探すなどのサ行五段動詞は、話せる、探せるとなります。

元々、話す{hanas-u}、探す{sagas-u}のように語幹(五段動詞は変化しない部分が子音で終る)と語尾が分かれますので、この場合は「さ」があってもいいんです。

図表 (6)(7)(8)(9)(10)

「れ足す」ことば

そしてもうひとつ。

「ら」を抜いたら「れ」が目立ってしまうのでしょうか。可能の意味を表す五段動詞(日本語教育でいうところのG1動詞)に必要のない「れ」をつけて言うと「れ足す」ことばになってしまいます。

○歌える→×歌え
○読める→×読め
○書ける→×書け

でも、以前ほど「れ足す」ことばを聞かなくなったような気がするのは、私だけでしょうか?

動詞の分類

何でこうなるの???と思った方。小中学校の国文法の復習です(笑)

どういう動詞を使う時に、ら抜き、れ足す、さ入れが出てくるのか? それは、

五段動詞(G1動詞)の場合=動詞の語幹に未然形の「ない」をつけた時にア段で終る動詞のグループ
例)歩く、走る、書く など

一段動詞(G2動詞)の場合=動詞の語幹に未然形の「ない」をつけた時にイ段で終るのが上一段動詞のグループ。エ段で終るのが下一段動詞のグループ
例)着る、煮る(上一段)/食べる、寝る(下一段)

間違いなのか?バリエーションなのか?

ここで、間違い(=誤用)

としてとらえてしまうとどうなんでしょう?

以前、日本語教育能力検定試験の勉強をしていたときにこんな事を学びました。

可能形の一本化

例えば、見られるの場合

  1. 見ることが出来る。という可能の意味なのか?
  2. 見られてしまう。覗かれてしまう。といった受け身の意味なのか?

文脈があると判断できるのに、これだけだとちょっと判断に迷うかもしれませんね。

なので、

  • ら抜き=可能の意味
  • らをつけて言う本来の言い方=受け身、尊敬

と、区別した方が合理的だという偉い先生もいらっしゃいます。

また、各地の方言では、「ら抜き」の使用が多いとも聞いています。

 

別にイイじゃん。ことばは変わるんだから。

使う場面によって使い分ければ良い。バリエーションなんだから。

という意見があってもよいと、私は考えています。

【文化庁ホームページ 国語に関する世論調査の結果について】
http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/

 

打ちことば (オマケ)

これ、私もつい最近知りました。

【打ちことば】話しことばや書きことばに対して、スマホやパソコンのキーを道具として打って書かれた語句や語法、その文章のこと。

  • メールに使われる絵文字・顔文字や略語による簡略化した表現(「アケオメ=明けましておめでとう。など)
  • 「あ”-!」など声にすると難しいもの
  • 漢字を多用する。など

メールやSNSなどの普及で、顔が見えない相手にニュアンスを伝えるために、絵文字、LINEなどで使われるスタンプなども定着しつつあるとのコトです。

タイトルとURLをコピーしました