ボイトレで滑舌練習をする時の教材 その使い方

kyouzai_uirouuri_text 納得!伝えることばの心得帳

ボイトレで滑舌練習のバイブルとして続けて使われている教材をご存知でしょうか?

今回は、有名どころの滑舌練習教材3種類をご紹介します。

以前、ボイトレでボイトレで滑舌が良くなるマル秘ツールというコラム記事お届けしました。

ボイトレで滑舌が良くなるマル秘ツール
先日の記事 歌で音程を外さないための心得とは? で、滑舌音痴という言葉を聞いたことがない。 世の中、上手くできないことは何でもかんでも音痴ってつければイイってもんじゃないよ。 なんていう記事を書きましたね(笑)。 さぁ、今回は、あなたの滑舌を良くするために滑舌練習を助けてくれるマル秘ツールを紹介しま...

 

ではまず言葉の意味から、

滑舌を英語にすると、enunciate(明瞭に発音する)。よく聞く別の単語としてはarticulation(アーティキュレーション)、またはfluent(流暢)という語も使われていますね。

 

次にThe BIBLE(バイブル)を

元々は

バイブル=聖書

という事はご存知でしょう。今では

ロングセラー、長く使われてきたモノといった意味になっています。または色々ある中でこれが一番ですよといった拡大された意味で使われることもあります。

いろんな言語でさまざまな種類の訳し方はあれど、聖書が出版物の中で一番長く読み続けてこられた書物であることは周知の事実です。ここから語義の変化が起こったのでしょう。

 

さて、滑舌を良くするというと、音楽関係のボイトレよりも、話し言葉関係で良く言われていました。

特に劇団、舞台役者、声優、アナウンサーが滑舌ということを意識する傾向でした。少なくとも僕の身の周りでは・・・。

しかし、それは一昔前のこと。

今は、歌、話し言葉(発語発話)関係なく、滑舌を良くしていかなければなりません。

また、何らかの言語障害をお持ちの方も滑舌練習は必要不可欠なことです。

それで、滑舌練習をする時に使う教材なんですが、割合が多いなあというもの、それを3種類ご紹介いたしましょう。

『五十音』『寿限無』『外郎売』を選ぼう♪

昔から、俳優、声優、アナウンサー、リポーター等、声や言葉使いを専門職としている人たちやそれらの職業志望の人たちが、必ずといってよいほど発声や発音のトレーニングに使っている教材が『五十音』『寿限無』『外郎売』の3つなんです。

この3つは、話し声の響き、滑舌練習、早口言葉の練習に必要とされていた教材です。

いわゆる早口言葉が詩や台詞の中に入っており、ディクション(言い回し)、アーティキュレーション(滑舌)練習として取り組んでいると、滑舌が良くなると言われています。

現状、劇団や養成所によっては、何が必要、何が不必要と意見が分かれています。

でもね、上の3つ、どれを選んでもよいと判断します。一長一短はありますが。

それでは、ひとつずつ見てくことにしましょう。

五十音/北原白秋

この詩は「仮名の学習歌」として書かれたものです。

詩の書き出しが「あめんぼ赤いな」なので、「あめんぼのうた」「あめんぼの歌」「アメンボの歌」とも言われています。また、「あいうえお」と出てくるので「あいうえおの歌」「あいうえおのうた」と伝えられてしまいました。

また「五十音の歌」と言われることもあり、正しい表記の『五十音』の方が知られていない。そんな皮肉なことがあるようです。

 

「4拍・4拍・5 拍」の定型詩です。五十音の各行の出だしに最初の文字(拍)で始まる言葉が置かれ、「ア、イ、ウ、エ、オ」などの各行の文字に関連する言葉が「4拍・4拍・5 拍」で配置されていると思いきや、ハ行ラ行だけ拍数が合いません。(下 青色太字

なので、時間的なまとまりのモーラ拍でなく、聞こえ方のまとまりの音節で発語発話しましょう。

ア行 水馬(あめんぼ)
カ行 柿の木
サ行 大角豆(ささげ)に
タ行 立ちましょ
ナ行 蛞蝓(なめくじ)
ハ行 鳩ぽっぽ(ハトぽっぽ)
マ行 蝸牛(まいまい)
ヤ行 焼栗
ラ行 雷鳥(らいちょう→らいちょ寒かろ
ワ行 わい、わい

また、「蛞蝓(なめくじ)のろのろナニヌネノ」だったり、「にょろにょろナニヌネノ」のように拗音となっているものもあるようです。

音節リズムを意識したい場合には、この五十音で練習を行うとよいでしょう。

実際の詩はリンクサイトをご覧ください。

▶ 五十音/北原白秋

寿限無(じゅげむ)

これは、早口言葉あるいは言葉遊びとして知られています。

元は日本の古典芸能のひとつで、上方落語では長名ともいいます。

寿限無(じゅげむ)とは古典落語のネタで、前座の話(噺として扱われる場合が多い)といわれています。

言葉遊びの要素を取り入れているので、早口言葉の練習教材としても使われています。

内容としては、ようやく生まれた子にめでたい名前を付けようとしました。

とにかく「長い」ものが縁起がいい!と考えた大人たちがとんでもなく長い名前を付けてしまう、という笑い話です。

または、縁起のいい言葉を幾つか紹介され、どれにするか迷った末に、ええぃ!全部付けてしまえ!という筋の言い伝えもあります。

長い名前を付けられた子供は、すくすく育っていきます。

近所の子供とけんかをした腕白なその子は、殴られてこぶを作った子供が父親のところに言いつけに来ます。そのやり取りの中で長い名前が繰り返されているうちに、こぶが引っ込んでしまったというお話です。

寿限無、寿限無(じゅげむ じゅげむ)
五劫の擦り切れ(ごこうのすりきれ)
海砂利水魚の(かいじゃりすいぎょの)
水行末 雲来末 風来末(すいぎょうまつ うんらいまつ ふうらいまつ)
食う寝る処に住む処(くうねるところにすむところ)
藪ら柑子の藪柑子(やぶらこうじのやぶこうじ)
パイポ パイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助(ちょうきゅうめいのちょうすけ)

滑舌練習にロングブレスやロングトーンなどの練習を組み込みたい場合には、この寿限無をやると良いでしょう。

詳しくはリンクサイトをご覧ください。

▶ 寿限無 (じゅげむ)

外郎売(ういろううり)

坂田藤十郎の『傾城買(けいせいかい)』とともに昔から二大難台詞の一つといわれていました。

二代目市川団十郎の作で、1718年(享保3年)の正月に、江戸の森田座で初演されました。

市川団十郎が「若緑勢曾我」に畑六郎左衛門という役名で外郎売になって登場し、素晴らしい弁舌をしたということから評判になって、そののち、独立した一幕となったり、他の狂言の中に組み入れられて演じられてきました。

この芝居はその外郎を売り広めてゆく行商人の身振りを巧みに舞台に採り入れた面白さと、市川団十郎の雄弁術が独特であったと言われています。
歌舞伎俳優の人たちは必ずこれを演じていると言われています。

▶ 外郎売(口上)

外郎売りの台詞発話は、台詞と言われているだけあって意味のあるものです。

【外郎売りの台詞発話は総合練習(その理由)】

①腹式発声の練習になるから。
②言い回しや滑舌の練習になるから。
③台詞に意味があるために、意味をもった滑舌法トレーニングとなるから。
④長い台詞を自分の言葉として伝える訓練ができる(ロングトーン)から。
⑤身体全体を使えば、身体表現のトレーニングとなるから。
⑥話者は感情を変化させていき、様々な語り口を駆使して薬(とうちんこう)のすばらしさを説くことで、表現力の練習になるから。

外郎売は、五十音や寿限無と比べて意味内容がハッキリしています。

内容や意味を知ってやると面白い

寿限無や外郎売は、内容や意味を知ってやってみるとその世界に入ってゆけます。特に寿限無や外郎売については内容を把握したほうが面白いというのが、僕の考え方です。

 

ここでは外郎売を選んで、冒頭の意味内容をちょっと掘り下げてみました。

鎌倉時代に建長寺を建立した大覚禅師に従って日本へ渡って来た外郎という人が、小田原に住んで売り広めた薬=透頂香(とうちんこう)を俗に外郎(のどの薬、婦人病に効いたとも)といいました。

実際の内容としては、外郎の売人に化けた曽我五郎が仇討の為に工藤祐経に近づくという話しの流れなのです。

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写真は、Microsoft Word のオンライン画像から検索、引用しました。

だから、

  1. 拙者(せっしゃ)親方と申すは、お立ち会いの中(うち)に ではなく、
  2. 拙者(せっしゃ)親方と申すは、お立合いの中(うち)に なのです。

1.のように書かれてあるものもありますが、外郎売の場合いくつものバージョンがある為、変わっていったのでした。

▶ 外郎売の解釈の違いを知りたければこちら
その他、冒頭の部分で面白く興味深いと感じたことを載せておきます。


お登りならば右の方(かた)、お下りなれば左側、

これは暗に、

お登りならば右の方い上方、舞台の上手

お下りなれば左側、舞台の下手

と解釈もできます。


八方(はっぽう)が八棟(やつむね)、表が三棟玉堂造り(みつむねぎょくどうづくり)、
破風(はふ・はふう)には菊に桐(きり)のとうの御紋(ごもん)を御赦免(ごしゃめん)なって、

八方が八棟、表が三棟玉堂造りとは?

こちら

また、後半部分の読み方は、御赦免(ごしゃめん)あって、ではなく、御赦免(ごしゃめん)なってと連声で読みましょう。

【連声】末尾の子音と次の母音の結合で別の音節を作ってしまう変音現象

安穏{an-non}  反応{han-noo}  三位一体{sam-mi-it-tai}
陰陽師{om-myoo-ji}
仏恩{but-on}  雪隠{set-tin}

劇団や養成所によっては、外郎売をやらないところもあるでしょう。コンセプトもあると思うので、やるやらないは自由でよいと考えています。

ただやるのであれば、意味を考えずに読んでいく、流暢に読んでいくことに加えて、意味を把握して練習した方が、また面白みが出てきます。

滑舌練習というと、発語発話しにくい意味内容のないフレーズや文を読むのもあり。

意味のある文章を読むのもアリ。どちらもありです。

使用する教材と先生やトレーナーと、あなたの目的に添ってやっていくとよいでしょう。

外郎売の解釈の違いを知りたければこちら

 

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