歌が上手くなりたいのに上手くなれない。上手く「ならない」のではなく「なれない」を取り上げています。上手くならないのは個人練や自主練をしないというのではなく、今回は練習のやり方の良し悪しや練習不足だからといった根性論でもありません。別のアプローチから語ります。
それでは、なぜ上手くなりたいと思っているのに、そのようになれないのでしょうか?
歌がうまくなりたいと思う時に出てくる「間違っている思い込み」
それは、「間違っている思い込み」に気づいていないからです。言い換えると歌が上手くなりたいと思ったときに出てくる思い込みです。特にこれは初心者~中級に手が届きそうな生徒さんたちに見られることですね。(当教室比)
この「思い込み」は「マインドセット」や「(リミッティング)ビリーフ」ともいわれています。
8つの間違っている思い込み
これら間違っている思い込みについては、8つの点から語っていきます。どのスクールでも行なっているであろう歌うための項目を使いながら説明します。
以下、間違っている思い込みが多い順に載せてあります。
どのようにあなたのために役立たせるか?
を考えながら読み進めていってくださいね。
正しい腹式呼吸が出来ていなければ上手く歌えない(1位)
まず呼吸の項目から。
正しい腹式呼吸はひとつ。令和になった今でもこのように思い込んでいる人は多いのです。ここで誤解を恐れず敢えて申し上げます。
喉にダメージを与えなければ、正解はひとつではない。
腹式呼吸だっていろんなタイプがあるのです。あなたの身体にしっかりと根付いた腹式呼吸。それは野球でいうところのキャッチボールやトスバッティングと例えるとよいかもしれません。
息を多く吸わないと声が続かない(2位)
続いて呼吸とリズムの項目です。
息を多く吸わないと声が続かないのなら、胸式呼吸と腹式呼吸の違いは体感できているでしょうか?
息を多く吸おうとするあまりに体の使い方が胸式呼吸になってしまってはいませんか?吸気よりも呼気をしっかりとたっぷりと、曲に応じては細く長く吐けないとなりません。
またこのタイプの人は、ブレスのタイミングを体感できていないことがほとんどです。実は息継ぎはリズムと密接な関係があるんですね。息継ぎは休符です。給付はお休みではなく次への準備です。リズムを疎かにしてはいけません。
地声はOK 裏声はNGと信じている(3位)
そして発声、音程と音域の項目です。
地声で歌うことが正しい。裏声で歌うことは誤魔化している。このように感じている人も多いのです。こんな時、裏声ベースで発声練習を積んでいけば、ミックスボイスの習得と並行して音域は伸びていきます。
また考え抜かれたメニューで発声練習を続けていけば、音のインターバルが離れていても実音以上に高いと思い込まなくなるでしょう。
You Tubeで語るトレーナーの言うことをそのまま信じている(4位)
さらに発音の項目です。
特に英語の歌などの洋楽を歌い慣れていない生徒さんにあるあるの状況です。You Tubeで語るトレーナーの言うことをそのまま信じているのが悪いのではありません。ユーチューバートレーナーによって言うことが違っています。トレーナーが伝えていることも間違っているとは言いません。何故なら、伝えているトレーナーはそのメソッドで上手く歌えているからです。
問題はトレーナーが語っている内容が、今のあなたの課題と本当にマッチしているかどうか?こちらの方が大切なのです。
言われたからそのままやっていても、良くある失敗例になってしまいます。
自分でしっかりと考えて判断しましょう。判断が難しければ、感性と感覚と裏付けでしっかりと判断出来るスクールや教室のトレーナーを頼りましょう。
歌なんて〇〇だと思い込んでいる(5位)
また、メンタルやマインドの項目からに関しては、思い込みだらけになっています。
- 歌なんてこんなもんだなぁと舐めている
- 歌が下手と思い込んでいる
- 自己肯定感が低い
- 謙遜と謙虚
- 自信と過信
- 今の自分の実力を自分で認めること(下の「メタ認知能力」との関連)
例えば、部分的なアドバイスを絶対と捉えてしまっていませんか?ある部分的なアドバイスを「全てに当てはまる」と思い込んでいると、下手という思い込みに駆られます。
結論はひとこと、
自己肯定感を養いましょう。
自己肯定感なんて直ぐには養えないですよ。
だからこそコツコツ積み重ねが大切になってくるのです。
「上手い」ということに対してのメタ認知能力が足りない(6位)
さらにメンタルの項目が続きます。
メタ認知能力というのは俯瞰して自分を見ることが出来るか?といった能力のことです。言い換えるともう一人の自分が認知を自覚したり、モニター(自分自身で理解内容の確認)し、コントロールが出来る高次の認知能力です。
さて、上手くなるというのは「上達」でしょうか?「向上」でしょうか?両方でしょうか?
とはいえ、不完全な方が下手よりも伸びシロがあるのも事実です。
感情を入れて歌う=上手いと思い込んでいる(7位)
さて、ここでボーカルテクニックの項目です。
感情を入れないと伝わらない・・
そうだよなぁ・・
いえいえ、そんなことはないんです。これはボーカリストのスタンス、心構えに繋がることなので正解不正解は在りません。しかしながら、この軸がブレているといけません。
そのために客観的に象限の中にあなた自身の声を当てはめてみましょう。
僕の声は「上手い-下手、好き-嫌い、良い-悪い」のどこに当たるのかなあ?
そのボーカリストと同じように歌わないとダメ(8位)
最後にリズム、発音を中心とした総合的な項目です。
この項目の結論から先にお伝えします。
器を深く広げていきながら引出しを作っていく!
真似することは研究になります。ご本家のボーカリストの歌い方に出来るだけ近づけるのも良いでしょう。発音や発声の研究にもなります。
ただ100%真似できなくてもよいのです。なぜなら、近づければ近づけるほど本家との距離が開いていくことを実感できるからです。
また、本家の歌い方があなたにとっての正解ではない場合もありますね。
特に高さ、キーの問題や微妙なフィーリングなどです。
ひとつの曲をトリビュートしてアレンジを変え歌っているテイクもありますからね。
以上、「歌がうまくなりたいと思う時に出てくる『間違っている思い込み8つ』」でした。あなたが上手くなるために参考にしてくださいね。