日本語の母音はいくつある?♪
日本語には5つの母音があります。これはどのボイトレ本にも書かれてあります。
この5つは共通語の母音の数で、実際には地方によっては、もっと多くの母音で話す地域があるのです。
母音を6つ以上使って話す地域が日本にあった!
さて、どの地域でしょう?
【一部引用】NHK放送文化研究所編 NHK日本語発音アクセント辞典
1998年1刷発行 解説編P.123~P.1266母音体系 [i][e][ɛ][a][o][ɯ] 青森県青森市
7母音体系 [i][e][ɛ][a][ɔ][o][ɯ] 新潟県長岡市
8母音体系 [i][e][æ][a][o][ɯ][y][œ]愛知県名古屋市*[ ]内は、IPAの発音記号表記
私は愛知県出身なので、具体例を示してみますね。
「でらんみゃぁ[æ]=どえらいウマい=とても美味しい」(英語のcan’tに近い)
「ふとぇー[œ]=太い」(「お」の口構えで「え」)
「さぶぃ~[y]=寒い」(丸めない「う」の口構えで「い」)
世代によっては、共通語の音に近づいた発音もされているようです。
え?同じ音じゃんって?
確かに、口を横に開いて「あ/æ/さがや」といっても、曖昧に開いた口で「あ/ʌ/さがや」といっても、阿佐ヶ谷には変わりありません。違う音(異音)としては認識しないんですね。
英語の場合はどうでしょう?
pat/pæt/(ゴルフのパット、軽くたたく)とpot/pɑt/(ポット、つぼ)だと、音が変わるので意味も変わります。
意味が変わる変わらないにかかわらず、こういった音のバリエーションをもっと意識したほうが良いのでは?と考えるわけです。
以上のことから、学校で習ってきた「あいうえお」だけでなく、多様な「あいうえお」を出せる!それぞれの母音に円唇(唇を丸める)と非円唇(唇を丸めない)を当てはめると10種類です。
上の図をご覧ください。三角形をひっくり返した形を書くこともあるので、母音の逆三角形ともいわれています。中の赤い文字(発音記号)が日本語の発音で使う「あいうえお」の舌の位置です。
日本語は、あまり舌を動かさないのが分かると思います。
▼母音の表記順が何故「あいうえお」なのか?何故「う」が[ɯ]になるのか?
それは、こちらを参考にしてください。
そして、ここが大切なことですが、
円唇⇔非円唇の間の音は、ハッキリ区切らず連続体の音に出来ることです。
やはりリップロールやタングトリルはやりましょう。目的のひとつに表情筋や舌を柔らかくするので効果があります。
母音を発する順番を考えよう
ここで発声、発音する順番を考えてみましょう。
やはり「あいうえお」という順番で声を出していくのでしょうか?
イタリアでは「いえあおう」の順番に発声、発音しているといわれています。
ピッチ周波数の高い順にすると、母音はこう並びます。
最も明るい音色の「い」から、最も暗い音色になりやすい「う」へと進みます。
母音の順番をこのように変えることで、唇の形と舌の位置をスムーズに確認できるわけです。
これ、知っておくと高音域の「い段」が出し難いということはなくなってくるでしょう。
ちなみに、言語聴覚や音声言語医学の分野では、「うおあえい」といった逆の順番が定着しているようです。
口の開き方と舌の位置を考えた時、母音を発する場合、気持ちよく声が出るかどうか?響きのある母音を出せているかどうかは、発声練習する上で大切なことです。
順番を理解しておきましょう。
口笛と「いえあおう」の関係
皆さんは口笛、吹けますか?
実は、口笛を吹く時の音の高低と母音の舌の位置とは関係が深いのです。
吹ける方は低音から高音までをつなげて吹いてみてください。
低音 →→→ 高音
う→お→あ→え→い(の舌の位置で吹くと吹きやすい)
おおよその舌の位置が、低音では「う」、高音では「い」の辺りで体感できると思います。
練習でどうしても「あ」から発声、発音したい
皆さんの中には、「いやいや、どうしても『あ』からやりだいんだ!」
という方もいらっしゃるかもしれません。そんな方には・・・(笑)
あ → え → い
あ → お → う
の順番で分けて発することを提案します。理由は、お分かりですね(笑)
まとめ 歌への道筋
まとめです。母音を発する場合、以下のことに気をつけながら行なってくださいね。
☑ 息の流れと有声音、唇の丸め、舌の位置(高さ、前後)を常に意識
☑ 「あいうえお」のそれぞれの音に円唇母音、非円唇母音がある。5×2=10個
☑ 母音どうしは連続体(音は切れずにつながっている)
☑ 母音を発する順番を考えよう