あなたは、どのような声になりたいと願ってボイストレーニングを受けようと思いますか?
どんな声になりたいですか?理想の声は?
- 太い声
- 魅力ある声
- 惹かれる声
- 味のある声
- キレイな声
- 心地よい声
- オイシイ声
- 響きのある声
- 気力のある声
いろいろな出てきていますね。
ひとつ言えることは、それぞれがそれぞれの立場での理想の声があるということです。ここは結構大事なところです!
今回は、この理想の声を考える場合のヒントを幾つか出していけたらと考えています。
ボイトレで良い声を出して歌がうまくなるためには♪
さて、生徒さんの中で10人中8人の割合で入会される方は上のように
「良い声を出してうまくなりたい」
と、話しています。(割合は当教室調べ)
では、もっと具体的に良い声とは何でしょうか?
突っ込んで質問すると以下のパターンに分かれた答えが返ってきます。
- 上手いは上手いじゃんと半ばひと言でいいたがる人
- 「・・・・ですよね」と自分で納得している人
- 考えてから具体的に言う人
- 考えても具体的に言えない人
多分、、、ですが、
どのパターンの人も自分なりの良い声がしっかりと意味付けされていない。
このように考えました。
もっと簡単に言うと
良い声とは?上手い歌とは?をひとことで言う柱となるボキャブラリーがない。だから探している声探しの旅。
といったところでしょうか。
柱となる言葉がないために、人によっては1週間前に話していた良い声と、今日話している良い声の基準が違うことがあります。
ある意味これ、分かります。
上手い歌を聴く度に、
こういう声で歌いたい。こんな声を出したいとあっちの声がいいな、こっちの声も癒されるなあと感じるのは無理もありません。
でも、
あなたの声は誰の声でしょう?
あなたの声は誰が発する声でしょう?
はい。それが答えるための大切なことだったりします。
途中経過はモノマネでも似せてもいいと思います。最終的にはあなたならではの声を探してみましょう。
それは、元々持っていて、ストレスで忘れてしまった声なのかもしれません。ひょっとしてボイストレーニングをやることで、これから見つけていく声なのかもしれません。
では、どんなことに気をつけながら自分の良い声を求めていくのか?次の事がらに注意をして進めていってください。
アウトプットの前にインプット
以前、耳のことを話題にしたコラムをアップしました。以前、自分の声は気導音と骨(伝)導音をきいて(聴いて、聞いて)いることは、お話したとおりです。
▼こちら
耳が良いとはどういうことをいうのでしょう?
それは、音の高低や強弱、そしてニュアンスの違いを感じ取ることのできる能力があると耳が良いといえます。
その他、自分の出した音が客観的に落ち着いて聴けること。これも大事なことです。
特にカラオケ好きなあなた、音楽活動をやっているあなたにとって、歌を歌っている時には、音程が取れているかが気になるでしょう。
もっとも、歌っている時も全く音程、特にピッチを気にせずに歌っている人もいるにはいるんですけど。
ところがですよ。
歌っている時にはある程度気にしていても、話し言葉となると音程を気にする人なんてほとんどいません。
話す場合にも同じように音の高さを気にするために、話しながら聞こえてくる自分自身の声を聴かないとなりません。
アナウンサー、朗読を志す方やナレーター志望の方ならアクセント、イントネーションは気にするところでしょう。
また、日本語教育能力検定試験を受験される方。試験Ⅱのアクセント、プロソディ関係で今まさに耳の訓練をしている方は、ちゃんと反応するんだろうなあ。(笑)
あなた自身の声を良い声とするためには、まず、客観的に自分の声を聴く力(いってみれば自分の今の声を聴くことで嫌悪感、恥ずかしさをとること)が大切です。
良い声の解釈は立場によって違う
室長は、良い声の解釈や定義付けは人によって違う!という考えに立っています。
良い声に対するその人の捉え方が、立場や考え方によって違うからです。
次の人たちの立場から言う良い声とは何か?ちょっと考えてみませんか?
✔カラオケを上手く歌いたい人の立場から
✔ボーカリストの立場から
✔コーラスのパートをしている立場から
✔バックミュージシャンの立場から
✔ボイストレーナーの立場から
✔レコーディングエンジニアの立場から
✔PAエンジニアの立場から
✔ディレクターや演出家の立場から
✔耳鼻咽喉科の先生の立場から
✔言語聴覚士の立場から
✔日本語教師の立場から
いかがでしょう?携わっているジャンルやフィールドの違いによって良い声の解釈とは同じでしょうか?
例えばボーカリストの場合だと、
自分の声を引き立ててくれるようなコーラスの声がとても良い声
かもしれません。
また、レコーディングエンジニアの立場から見た良い声とは、
少しの音程(ピッチ)のハズレは、簡単に補正が利くので、それよりもリージョン波形がバラバラでなくきれいに揃った声の方が良い。
という場合もあります。
さらに、言語聴覚士の方がいう良い声とは、
歌は上手くなくてもよいので、側音化構音でない声が良い声だと思う。
ということだって考えられます。
良い声は、その人の価値基準によって違う
これが結論です。
冒頭にもお話したとおり、いろんないい方で良い声が例えられますからね。
全ての立場の人に納得してもらえるような万民受けする声はあったとしても、それは良い声ではない。そのように考えています。
コンプレックスのある声は良い声?
じゃあ、幅広い層から支持を集めている政治家は?
という質問が来るかもしれません。
ここで、故田中角栄総理を例に出しましょう。
自分の声のコンプレックスと闘いながら自信の声を武器していた方だ。
室長はそのように感じています。
ロッキード事件で逮捕された故田中総理でしたが、あの独特なダミ声は声の力で人を動かすことのできる数少ない人だと思います。
当時、こう言われていたそうですよ。
怖いおっさんが
といったドスの利いたどなり声ではなく、
と放った瞬間に聞き手を惹きつけるツカミOKの声でした。今は知らない世代の方も多いので、一度聴いてみるとよいかもしれません。
さて、田中氏に対しては、こんな評価もあります。
日本の歴史に残るような大政治家で、同時に独特の悪声で有名です。
何故こんな悪声ともいえる声で話しているのか?こんな声になったのか?その原点を考えてみましょう。
お酒?たばこ?
いえいえ、
実は子供の頃の吃音(どもり)が原因で、何とか克服しようと苦労されたらしいんです。吃音に苦しみながら、ご自身の声と向かい合いながら生きてきた。その長い過程が田中角栄氏の声をとても良く惹きつけられる声にしたにした、と考えるのは室長だけでしょうか?
声の象限図に当てはめてみよう
ここで必要なことは、声の象限図(4象限マトリクス)に当てはめてみることです。なぜなら、声を判断する場合には判断する人の主観がたっぷりと含まれているからです。
- 上手い―下手
- 好き―嫌い
- 良い―悪い
この組み合わせでマトリクスを作っていくのです。
▼4象限マトリクスについてはこちらの記事に詳しく書かれてあります。参考にしてください。