パフォーマンス・シリーズの2回目です。今回は気持ちの面について深掘りしていきましょう。
▼前回内容はこちら パフォーマンスで必要になってくる3つの柱
例えば、
- 筋肉質のボディ
- 人格者
- お金持ち
- 歌が上手
- プレゼンがスムーズにいくよう
と、こんな結びつきで考える人がほとんどなのではないでしょうか?(コロケーションといいます)
ここで、ちょっと角度を変えた見方を提案しましょうか。それは、
在りたい自分に近づける♪
「在りたい自分に近づける」って、何だかカッコいいですね。あなたには、こんな経験ありませんか?時間がある方は次のリンクページに飛んでもらえると分かります。
▼得意楽器以外の楽器を初めて触ったワクワクドキドキ感
ワクワク感ってこんな気持ちに似ていると思っています。この記事は僕が書いたものではありませんが、「在り方」それをよく表していると思います。
在りたい自分とは、それが叶った後の状態のことを指します。言い方を変えると何か目標を達成した後の将来の自分の姿、これをイメージ(妄想(笑))することとも似ています。
気持ちの面から視るパフォーマンス
前回も書きましたが、僕は
モチベーション≠やる気
という立場をとっています。モチベーションとやる気は同義語ではないという立場です。
【モチベーション】
本来の意味でのモチベーション(動機づけ)とは、きっかけや自発性のことです。「やる気」は上がったり下がったりしますが、モチベーションは上がることも下がることもありません。
▼モチベーションについて
就活ボイトレ、今年は終了!どうなる来年?先月末から今月初旬(2017年現在)で、ほぼ新卒の就職活動が終わりました。 第一志望の企業から内定を頂けた方 第二志望群の企業に進もう!そう決めた方 そうでなかった方もお疲れ様でした。 阿佐ヶ谷教室では、伝える声力アップコースというコースがあります。就職活動の学生さんにも使って頂いているのがこのコー...【やる気≒意欲≒テンション】
やる気とは字の通り「何かをやろう/しようとする気持ち」で、気持ちのことを指します。「意欲」と似た意味合いで、行動を起こすときの、気持ちのエネルギーと考えてください。
先生によっては、やる気をテンションと言っておられる方も。
そうすると、
✔ モチベーション=原因にフォーカス→在り方
「◯◯だから」という何かを行う動機になるのがモチベーションです。やることも、やらないことも、その人の「在り方」だと僕は考えます。
✔ やる気=行動するための気持ちにフォーカス→成り方
何かの物事を行う際に出てくるやる気の度合いだと考えています。やる気があると、事は進む方向に成りますし(それが成功)、やる気がなければそれはそれまでです。
つまり、先に「モチベーション」在りきなのです。で、次にそこから出てくるのが「やる気」!このように解釈をしています。
やる気は上がったり下がったりしますが、モチベーションは自分の内面から湧き出る事なので他人の影響によって上がったり下がったりはしません。
◇モチベーション(赤字)◇やる気(青字)を出す例
今年こそ日本語教育能力検定試験に合格したいから、試験Ⅱを頑張ろう
夫が単身赴任先から帰って来るから、部屋をキレイに掃除しよう
僕もそういう時が多々あるんですが、モチベーションがあっても、やる気が出ない時、どうするか?
とりあえず5分でいいのでやってみることです。そうすると、気づくと10分、30分経っていますから。(^^♪
さて、メンタリストDAIGOさんによると、このモチベーションには二つの種類があるらしいのです。
- 回避型
- 獲得型
1.は今持っているものを失うのが怖い
「安定性がなくなる」と伝えないと響かない
「上手くいっているけれど、ここは治した方が良い」でモチベーション上がる
「一歩ずつ、着実に踏み出そう」 で好反応を示します。
2.はこれから手に入れるものを失うのが怖い
「チャンスを失う」と伝えないと響かない
「やったじゃん。がんんばったじゃん」でモチベーション上がる
「とりあえず、やってみよう」
これらに「やる気」との関連を見つけていくと
モチベーションは回避型の車、獲得型の車のどちらかで、やる気はそれぞれの車に備わっているエンジン。
と言っていた生徒さんがいました。とても分かりやすいですね。
ハースバーグの動機づけ
別名「衛生理論」とも。
アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した仕事における満足と不満足を引き起こす要因に関する理論です。
人が仕事に対して、満足感を感じる要因と不満足を感じる要因は、全く別物であるという考え方です。
衛生要因 | 動機づけ要因 |
苦痛や欠乏を避けようとする動物的な欲求。
例)会社の方針と管理、給与、労働条件 |
心理的に成長しようとする人間的欲求。
例)達成感、承認、責任、成長 |
ここで、ビックリするようなことを伝えています。
衛生要因(不満要因)をいくら取り除いても、満足感を引き出すことにはつながらず、不満足感を減少させる効果しかない。ということです。衛生要因を改善しても、次に新しい不満が出てくるわけです。
心理的に成長しようとする欲求を十分に満たすことが出来なくても、不満足感は増えるわけではありません。仕事の満足感を引き出すには、動機づけ要因にアプローチすべきでしょう。
第二言語習得の面から
日本語教育を始めとする言語教育の世界で使われている用語です。
第二言語習得とは、母語(第一言語)よりも後に学んだ言語のことです。学習者(日本語教育の場合、学生でもなく生徒さんでもなく受講生でもなく、このように呼びます)の中には、すでに母語(第一言語)があります。また、どんなにペラペラでも、母語話者のレベルにまで到達することはできないとされています。
社会心理学者のガードナーとランバートが、バイリンガル環境の元で研究した学習動機の種類です。
道具的動機づけ | 統合的動機づけ |
実利的な目的を実現したいという欲求。
試験に受かりたい、 |
目標言語を話す人々の社会や文化へ 参加したいといった動機づけ。帰属的。その国の文化に魅せられて上達する。 |
フランス語を学ぶカナダ人学習者に対する研究から、統合的動機づけによる学習の方が学習者の伸びと到達度が高かったとしました。
ところが、フィリピンでの英語学習者を対象とした研究の場合、道具的動機づけの方が大事だという結果も出ていますので、一概にどちらが良いとはいえません。
教育心理学の面から「お金を見せるとやる気がなくなる?!」
教育心理学の立場からでは、次の動機づけが登場します。
外発的動機づけ | 内発的動機づけ |
促進(賞賛や報酬) 抑制(強制や懲罰)などが要因。 学習そのものが目的ではない。 職場環境や上司などの外部から受ける 要因がきっかけで行動を起こすのが特徴。 |
知的好奇心(関心がある)
それ自体が面白いし、理屈抜きに楽しい 行動を続けられるため、自律学習が可能。 |
【達成動機】 努力によって達成できる見込みのある課題や意味・価値のある仕事を努力して成し遂げたいとする動機のことです。
と思える目標に対して、達成動機がグン!と高まるとされています。
あなた自身の中で目標を小さなステップに分けることも大切ですね。
ボイストレーニングなどの習い事をやっている生徒さんは、この達成動機を頭の片隅に入れておくようにしてください。
スポーツ心理学の面から
教育心理学の面からの分け方と似ていますが、スポーツメンタルトレーニングの世界(スポーツ心理学)では、こんな分け方もあります。
上の図を表に置き換えると、
他律 | 自律 | |
完全なる内発的動機づけ | ― | 目的 |
疑似内発的動機づけ | 目的 | ― |
同一化的動機づけ | ― | 手段 |
完全なる外発的動機づけ | 手段 | ― |
アンダーマイニング効果に注意
別名「過正当化効果」とも。
内発的な動機づけをされて行なった振る舞いに対して、外発的動機づけを行うと、途端に行動意欲が低減することがあります。
外的な報酬を求めずに自ら進んで行った行為、例えば、ボランティア活動や何かの奉仕に取り組んだことなどを想像してみるといいでしょう。このような振る舞いや行為は、その人の気持ちの中ではとてもシンプルでピュアなパフォーマンスであるはずです。
こんな内発的動機づけによって行動しているはずです。
しかし、ある日突然それらの行為に対して金銭などの報酬が与えられるようになったとしましょう。
そうです。不思議なことに、それをやりたくなくなってしまうのです。やりたいからそれをやっていたのに、お金がチラつくと、やる気がなくなってしまうんですwww
無意識の中で求める価値(対価)が置き換わり、パフォーマンスレベルが一気に下がってしまったんですね。
動機づけがパフォーマンスに及ぼす役割は大きいのです。
次回は、肉体面、そして何をするか?といった行動面にフォーカスを当てて、詳しく見ていく予定です。興味のあるあなたは、次回もお立ち寄りください。m(_ _)m♪