ラ行は奥が深い!ボイストレーナーが発音の仕方を伝授

口と舌の画像 ボイトレジム
Claudio_ScottによるPixabayからの画像

もはや発声練習の定番メニューとなっているリップロール(リップトリルとも)です。さらにもう一つの定番となっているタングトリル(タングロールとも)はいかがでしょう?出来ますか?

タングトリルを上手に回すためには「ラ行」の発音がスムーズに出来ることと違いが分かることがカギになります。

タングトリルの出来ない人への助け舟

リップロールとタングトリルの目的は下記のとおりです。

【リップやタングの目的】

唇と表情筋(特に口輪筋)のはリップロール/ 舌を柔らかくするのはタングトリル
喉のウォーミングアップとクールダウン 場合によってはケア
(喉の筋肉の柔軟性と張力をつける/声帯の振動を自然に起こさせる)
音の高さに合った適切な息の量が吐ける

言い方を変えると、上のチェック項目がすべて出来ていれば、自然に回るのです。

タングトリルがスムーズに回らない人への対応として

男性トレーナー
トレーナー

ラ行発音を見直してみよう

ということを提案したいのです。

歌う時、喉にかかる負担の外し方とは
歌っていると、どうしても声が気持ちよく出せず、喉に引っかかる場合ってありますよね。 高い声を出すときに首周りが緊張して上手く出なかったり、体の余分な所に力が入っていると響かせにくくなります。 裏声やファルセットで歌う事が出来ればいいんですが、換声点(ブリッジ、ブレイクポイントとも)やフェリンジャル(...

同じアルファベットなのに違う発音が多いRとL

まず、最も知られているRの音は震え音[r]といわれている音です。舌の先を歯茎にちょっとつけて震わせることでその音を作ります。日本語での発音の場合、この音は「巻き舌」と呼ばれています。

次に英語のRの発音は[ɹ]という接近音です。舌先を軽く持ち上げますが上あごのどこにもくっつきません。その結果、発音した時に日本語のラ行とは違う音に聞こえます。

さらに、ドイツ語の場合は口蓋垂(のどちんこ)を震わせる[ʀ]や[ʁ]などの音になります。この音は日本語にはありません。

日本語のラ行

なおさらにLの発音も調音法(音を作る方法)がそれぞれの国によって異なります。

実は日本語のラ行の発音記号は[l]ではありません。ラ行は、有声歯茎弾き音といって[ɾ]という発音記号で書きます。なんだか[r]に似ていますが、日本語のラ行[ɾ](有声歯茎弾き音)は、[r](有声歯茎震え音)と発音の種類(調音法、調音様式)が違うのです。

英語のL[l]は舌先が歯茎について両方の隅から息が漏れ出ます。日本語のラ行[ɾ]の場合は舌先が歯茎についてスグに弾かれる音です。英語のL[l]の方が、ほんの少しだけ舌先が歯茎にくっつく時間が長くなります。

日本人は本当に英語のL(エル)ができないの?

[l]と[ɾ]のコト

画像作成:Motoki Kinoshita

結論から話しますと、自覚がないだけで無意識のうちにLの発音[l]が出来ている人もいるかもしれないのですよ。

では、ラ行[ɾ](有声歯茎弾き音)L[l](有声歯茎側面接近音)との違いはどこにあるのでしょうか?実は、単語や言い始めのアタマにラ行が来るか?語中で来るかの違いで発音が変わる場合があるのです。

こんなことをやってみましょう。まずゆっくりと

ソーン節

と言ってみてください。

次に

ーメン

をこれまたゆっくり言ってみましょう。比べてみると

「ソーラン節」の「ラ」は舌先がB側に向きやすい
「ラーメン」の「ラ」は舌先がA側に向きやすい

あなたの口の中で舌先がこのような動き方をしていませんか?つまり、舌先がB側に向いていた方がタングトリルがやり易いのです。

語のアタマに来る音か?語の中に来る音か?で発音が変わる

上の図から、

  • 語頭でラ行を発する場合、舌先がA側に向きやすくなる。それが[l](有声歯茎側面接近音)
  • 語中でラ行を発する場合、舌先がB側に向きやすくなる。それが[ɾ](有声歯茎弾き音)

と、まとめることが出来ます。

と、いうことは、語中のラ行を発音するタイミングで

ソーララララララン節

のように試してみると回り始めてくるでしょう。

話し言葉や歌う場合での使い方

最後にまとめに入りましょう。
実際に話し言葉で使う場合や、歌っている時に使う場合には、どんなことに注意をしたら良いのでしょうか?

ふたつの分野で見ていきましょう。

[l]と[ɾ]のコト

話し言葉の場合

まず話し言葉の場合、語のアタマ(語頭)に来るか?語の中(語中)に来るかで変わることは、先ほども書きました。

舌先はAでもBでもどちらも可

[ɾ](有声歯茎弾き音)でも[l](有声歯茎側面接近音)でも、どちらでも構わない。

語頭に来るラ行音
例)りす れんげ らっきょう 論述(ろんじゅつ)

因みにラ行で始まる単語は日本固有の語(和語)ではなく、漢語か外来語です。

語中:「ン(撥音・跳ねる音)」の後のラ行音
例)かんらんしゃ(観覧車) こんれー(婚礼) ガスコンロ

舌先はAの向きで発音する傾向

[ɾ](有声歯茎弾き音)よりも[l](有声歯茎側面接近音)の傾向がある。

語中:「チ/ツ/ッ(促音)」の後のラ行音
例)ちり(地理)  しつらくえん(失楽園)  つるかめ(鶴亀) タリアテッレ

舌先はBの向きで発音する傾向

それ以外の語中にくるラ行音は[ɾ](有声歯茎弾き音)で発音した方が良いようです。何故なら、[ɾ](有声歯茎弾き音)のように弾かないと甘えたような、昔のぶりっ子のような声になるからです。

ただし、アニメ声や両声類の声をやりたければ、声バリエーションになりますから、要は使い方次第ですね。

歌う場合

続いて歌う場合です。歌う場合は、もっと条件が複雑になります。

課題曲のジャンル、リズム(特にテンポの要素からくる音符の伸ばし方)、さらに低音中音ででてくるのか?サビの高音域で歌うのか?これらの条件を反映させながら[ɾ]にするか[l]にするのかを決めていかないとなりません。

J-Popでも外国曲でも歌詞をしっかりと自分で入力したり書いたりして、音の処理を学んでいきましょう。やっていく途中で、多くの気づきを得ながら歌うというアウトプットをする。そしてフィードバックを繰り返すことで体感していきましょう。


体験レッスンの詳しいコトはこちらのフォームからが便利です。
お電話でも受け付けております。

阿佐ヶ谷教室窓口電話番号
一度気軽に体験レッスン_bunner
次世代型パフォーマンス体験パック_bunner

タイトルとURLをコピーしました