アクセント辞典を使いこなしましょう

アクセント辞典3種類 納得!伝えることばの心得帳

アクセント辞典は、放送業界をはじめ、日本語の音声表現を仕事にしている人たちに向けて作られた辞典です。

ボイストレーナー、役者、声優、ナレーター、アナウンサー、日本語教師、国語科の先生など、この辞典を使う人は多いといわれています。

では、実際にアクセント辞典を使いこなせているか?といえば・・・、

どうも使いこなせていない、というよりも使い方が分からないと言い換えた方が良いのかもしれません。話し言葉教室や朗読講座、共通語のアクセントの講座などに参加すれば使い方を教えてくれるのでしょうが、そうでない場合、見出し語を引いて確認するだけに終わってしまいます。

使い勝手が違うアクセント新辞典♪

なお、アクセント辞典の使い方については、最新(2016年初版)の

NHK放送文化研究所 編著『NHK 日本語発音アクセント新辞典』(以下、新辞典)NHK出版
を参考に記事を書いています。

NHK 日本語発音アクセント新辞典 について

この辞典、前版の緑色の「日本語発音アクセント辞典」(以下、旧字典)や、三省堂の「新明解日本語アクセント辞典」(以下、三省堂)を使い慣れている人たちからすると、

NHK 日本語発音アクセント新辞典を持っているあなた
項目の立て方(立項)が複雑だし、前のとは使いにくいぞ。

と感じる方もいるのではないでしょうか?

僕も新辞典になってから

室長
慣れるまでは大変だなあ。

と感じているひとりです。

構成とアクセント記号の変更

アクセント辞典 前の版と新版

写真上が、新辞典、写真下が旧字典です。三省堂旧字典と同じ表記でアクセント核を表していました。

黄色のマーカーで引いてある見出し語「ぎいん、ギイン(議員、議院)」を見てください。

まず、新辞典は2色刷りで見やすいです。ただ、この赤で印刷されてあるアクセントの下がり目に慣れない人もいます。実際に何人かの生徒さんから、

生徒さん
前の記号で慣れてしまったので、新しいのはなかなか慣れません・・・

ということを聞いています。

第1アクセントから第2、第3アクセントまで

ただし、新しい試みがいたる所に散りばめられてあるのはいいですね。

放送で最も推奨するのが第1アクセント、揺れを認めたり意味や用法によってアクセントが違う場合に、第2、第3アクセントとしたり、日本地名の地元放送局のアクセントを載せたりしているのは嬉しく思いました。

NHKも「第1アクセント」は、最初に覚えるならこれがお勧めのアクセント、「第2アクセント」は2番目に覚えるならこれがお勧めのアクセントということを勧めています。

例えば、

名詞では
ディレクター(ディレターか゜)(ディレター ̄か゜
*ク:母音の無声化 / か゜:ガ行鼻濁音の語形

地名の場合
伊那が(ナか゜)(地元放送局では、イナか゜

少し重複する項目も

執筆者が違うのかと思いますが、クリーム色の部分が重複しています。写真をクリックして別ページでpdfファイルを開いてみてください。(DLはご自由にどうぞ)

日本語発音アクセント新辞典の構成

上の写真、左側の表は、この辞典の決まりを載せてあります。右側の表は巻末の付録1解説編付録2資料編です。

写真からも判断できますが左の表と右の表とでは重複する項目があります。項目が重複しているクリーム色の部分は、どちらかというと巻末付録1、2の解説・資料編の方に詳しい内容が書かれてあります。

巻末の解説・資料編を使いこなせるかどうかがキモ

この後ろのページを使えるかどうか?これがアクセント辞典を使いこなせるかどうかにかかってきます。

アクセント辞典の使い方キモになるページ

写真は、名詞に付属語(助詞、助動詞)が付いた場合の発音とアクセントの表です。こういった表は、名詞の他に動詞や形容詞に付属語が付いた場合も載せてあります。この表を使いこなせるととても便利です。

語の使用頻度にもよりますが、見出し語を引いた時、語の活用をリーダー点囲みで載せてある。そんな見出し語もあります。旧字典では、見出し語を引いても終止形(辞書形)のアクセント表記だけで、活用は巻末の活用表を参考にする。このような引き方でした。

だから新辞典の方は、旧字典よりも三省堂よりも頁数が多く倍の厚さなんですね~。

 

解説編は分かりやすく書かれてあると思います。

共通語の特徴として理解しておかなければならない音のこと(アクセントの統語機能を始め、アクセント句やイントネーションなど)が解説してあります。

アノ?アクセントの法則が消えている!!

共通語の発音やアクセント、音声・音韻を勉強された方は、アクセントを学ぶときに必ず出てくるアノ法則があります。

語が単独で発音された場合、1拍目と2拍目の高さが必ず異なる。

実は、今回の新辞典には、上のことが明快に書かれていません!

その代わりに次のような書き方をしています。

【引用 NHK 日本語発音アクセント新辞典 解説編 [8]】

つまり、ある部分の音が「高いか低いか」という二元的な観点からのみ考えている限り、日本語のアクセントを幅広くとらえようとした場合に、どうしても壁にぶつかる。重要なのは、「どこが低くてどこが高いか」ではなく、「どこで音が大きく下がるか」ということである。

アクセント指導をされている先生方も、以前から

アクセント指導をされている先生
アクセント、上がる部分はたいして問題にならないよ!

と言われています。

どういうことなのでしょう?例えば、

  • コーヒー
  • 新聞社
  • 新幹線
  • 放送局 など

2拍目が撥音(跳ねる音)や引く音(のばす音)の場合、わざと1拍目と2拍目の高さを変えて読んだり発話すると不自然になりますよね。そのまま自然に読むと、1拍目から上げて発した方が自然ですし聞き取りやすいのです。

これを法則どおりに発話してしまう声優や俳優の勉強をしている皆さん、結構長年やっている人(ナレーター、アナウンサー)でもこの癖が出てしまう場合があるんです。このような場合、なかなか数回のレッスンでは直らない(治らない?)事を添えておきます。

その他、複合名詞のアクセントや数詞+助数詞の発音とアクセントは、旧字典よりも詳しく見やすくしてあります。

外来語のアクセントは旧字典の場合、項目としてまとめてありましたが、新辞典では本編見出し語の中に入れてあります。

電子辞書やアプリの販売は?

室長
誰ですか?「アクセント辞典は重いから持ち歩くの嫌だなあ」なんて言っている人はぁ。

電子辞書やアプリのことを考えるとどうなんでしょうか?本の場合と構成を変えないとならないので、電子辞書化、アプリ化はまだ先のことだと思います。

サイトで確認したところ、やはり

『新辞典』の使い方 Q&A

Q10.
『新辞典』に対応した、アプリや電子辞書はありますか。
A10.
『新辞典』に対応した、アプリや電子辞書は、まだ発売されていません。
現在 販売されているアプリや電子辞書は、旧版の『NHK日本語発音アクセント辞典 新版』(1998年発行)に掲載されたアクセントにもとづいたものです。
『新辞典』に対応したアプリや電子辞書については、NHK出版が準備を進めていますが、発売時期などの詳細はまだ決まっていません。

【引用 NHK BUNKEN NHK放送文化研究所ホームページより】

 

ワンバイブスでは、就職活動で放送業界志望の方、新人アナウンサーやナレーターの方で「今さら訊けないよ」という方、日本語教師の方にアクセント辞典の使い方、そして共通語で伝えるにあたっての押さえておくべき特徴とトレーニングをお伝えしております。短期レッスンとして、伝える声力アップコース、アドバンスコースでお申し込みください。

7回~8回の予定を組んでいます。


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