表現力豊かな声

4要素の声 ボイトレジム

表現力豊かな声とは、どのような声なのでしょうか?

ここでは、ボーカルにフォーカスを当ててお話していきましょう。(ある部分、話しことば(発語、発話)にも関係する内容です)

さて、あなたが人の歌を聴いていて

読者のあなた
あの人、歌がうまいなぁ

と感じるときには、幾つかの要因が上手に絡んで、歌い手の世界観を作り上げています。

  • 身体使い-リズム-呼吸
  • 身体使い-リズム-発声
  • その他

いろいろありますが、今回はフレーズについてです。

表現力をつけるためにフレーズを考えよう♪

表現力をつけるためには、フレーズを考える。
フレーズを考えるためには声の要素を考える。

これらのことは大切です。今回の内容を一言で言い表すとこうなります。


表現力をつけるためには、フレーズの入口と出口を吟味してみよう!です。


例えば、レッスンでもレコーディングでも

ボイストレーナー、またはエンジニア
ダイナミクスをつけて!

と指示された場合、あなたが

読者のあなた
声の大小だな・・・

と判断したとします。その場合の大きな声と小さな声というのはどのような声の事をいうのでしょう?

物理的に、音圧、基本の周波数、周波数特性で考えるのか?
心理的に、声の高低、ラウドネス、音色で考えるのか?
もっと音楽としてとらえて、 ff (フォルティッシモ:fortissimo)からpp (ピアニシモ:pianissimo)で考えるのか?

▼声の4つの要素について

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その前に押さえておきたいことはフレーズの入口と出口、僕はそのように感じています。

フレーズの入口と出口

フレーズの入口の前には息継ぎ(ブレス)があります。フレーズの出口の次にも息継ぎ(ブレス)があります。

ほとんどの生徒さんが言われて気づくことなんですが、息継ぎは歌中から始まっているのではありません。曲のイントロが終わって歌いだす前からブレスをします。

余分な息を吐き切る→イントロ内のタイミングの良い場所で吸う→歌い出す

つまり、歌いだす前に必ずブレスは行っています。しかし、

この流れを気づかずにやってしまっている人が多いのです。こういった無意識は良くないので、レッスンの中では明示的に次のような準備を行なってもらっています。

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当たり前のことですが、フレーズの入口、出口を意識するために意識するのは息継ぎ(ブレス)のタイミングなのです。

そうです。フレーズとは

【フレーズ】

意味のまとまり音の繋がり。歌ではこのまとまりごとに息継ぎをします。

別の言い方をすると、前に息継ぎした部分から次に息継ぎをする部分までで、
音のことばとして意味がまとまっている部分がフレーズです。

▼フレーズについての記事

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歌にもある!?ボトムアップとトップダウン

語学学習にも繋がることですが、歌う場合も、ボトムアップでとらえるかトップダウンでとらえるか?この考え方ってあるんじゃあないだろうか?そのように思います。

ボトムアップとは、音→単語→フレーズの流れで、細かな部分から塊(チャンク)を作っていくこと。トップダウンとは、先に予測を立ててから全体を理解、そして処理をするやり方です。

室長
う~ん。歌のトップダウンってかぁ・・・

音→単語→フレーズで行っても、フレーズ→単語→音で行っても大切なことは、

室長
フレーズ出口の処理をどうしますか?

この意識が曖昧だと、歌に安定感がなくなります。必ずこれを意識してください。

フレーズの入口と出口で決まるもの

カラオケでも生演奏でも、ある程度歌える人は、高い声のピッチを外さないように、または、タイミングよくしっかり入ろうと声の出し方や音の当て方ばかりを気にします。

それはそれで大切なことですが、ピッチを外さずに出せた声、タイミングよく入れた音が自分自身の中で確信できた途端に安心して気が緩んでしまうんです。

すると、どのようなことが起きるのか?

下るメロディが不安定になる。ビブラートもきれいにかからない。ロングトーンで伸ばした音が不安定、換声点(ブレイクポイント、フェリンジャル、フェリンジルとも)付近の高さだと出した声がひっくり返るなどなど・・・。

これらの現象は、全てフレーズの出口まで意識をもっていかないために起きてしまった現象なのです。聴き手はこのような歌から

聴き手のあなた
ああ、惜しいなぁ。もったいないなぁ。

と、なってしまうわけです。

フレーズの入口 フレーズの出口
歌い手の印象が決まる 歌の余韻が決まる

ここを押さえておいてから、声の要素でダイナミクスを考えた方がよいと考えています。

さらに、フレーズの出口から次の入口への繋ぎ方も大切になりますね。

僕は、①声を伸ばして歌おうが、➁切って歌おうが、③音は切れていても気持ちは切れていないように歌おうが、④語尾をそっと置く感じで歌おうがどれでもよいと伝えています。うまく歌えるまでの過程には、必ず曲のフィーリングに対して、そしてオリジナルシンガーに対してのリスペクトがあるプロセスを踏む。そのような意識を持ってレッスンを行なっています。なので、いろいろと生徒さんに試してもらって歌い手側、聴き手側、両者が納得いくところを探しています。YouTubeでも1曲についていろんなバージョンが出ていますからね。

いろいろやってみて、歌い手側も聴き手側も

歌い手のあなた
よしっ!うまくいった。納得!もっと聴いてもらえるようにがんばろー♪

と、自己効力感が上がる。

聴き手のあなた
おおー!カッコいいね~。味がある歌だね♪

お互いに良い気持ちになる。

こう感じれば良いのですから。お互いにそのような気持ちよさを見つけるために、何度も何度もトライ&エラーを繰り返してゆく。それがカラオケ、生演奏問わず「人前で歌う」というパフォーマンスに繋がるわけです。

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